認知症本人が持つ“想い” [本人意見]

「まだまだ社会参加がしたい」「できることがあるということが実感できる」「楽しい場所で仲間がいる」・・・等々、本人が想っていることが実現できる場所づくり、環境づくり。

DSC_0017[1].JPG子どもたちからは「おじちゃん!」と呼ばれ・・・。

介護・福祉という言葉にはどこか堅苦しいイメージがあるのだが、簡単に考えると場所づくりという環境を整えることが既にケアの一つになっている。

どこか身体介護というイメージが先行しがちだが、身体介護というのは知識があれば誰でもできる。認知症ケアは知識も必要だが、「どうすれば具現化できるのだろう?」というような本人の視点に立ったつもりで考える柔軟さが重要視される。

例えば、「紙やすり掛けを通して社会の役に立ちたい」と言っている人がいるとする。でも認知症が深まっていくにつれ、紙やすりが持てなくなってしまった。その場合は「どうすれば紙やすり掛けを継続できるのか?」と、できる方向に考えをシフトしていく。

実際には紙やすりを「持っている」という認知機能が障害されてきて、軍手のままで掛けている状態が見受けられる。紙やすりは薄いからね。

そこで思い付いたのが紙やすりホルダーだ。紙やすりを巻き込み、更にグリップが付いていて握ることができる優れものだ。

これに変更してみると、グリップを認知されて本人も思いの丈に作業することができ、曇りの表情からパァっと明るく満足の表情になり、「良かった!」と言って頂けた。

これは個別ケアの一環だったが、それを勘違いしている人がいる。べっとりと一日中くっつくのは個別ケアではない。気持ちが悪すぎる。

個別ケアとは、その人の想いや気持ちを推し量りながら、「どうすれば実現できるのか」「どうすればプラスの方向性に動くのか」「どんな想いがあるのか」等々、話を聴くことである。せっかく2人だけの時間なのだから、有効活用しないと。

普段聴けないような話、2人だけの秘密の話、本当の想いなどを聴くだけでも信頼関係はUPするものだ。わざとこの時間を設ける必要もあるくらいだが、こちらも聴く雰囲気をつくらねばならない。

要は、個別ケアというのは時間の長さではない。中身の濃さなのだ。また、改めて話を聴こうとするとかえって緊張されてしまい、なかなか話が出ないことはよくある。

だからこそ、入浴中やトイレ、食後の休憩中などに~しながら聴いてみる。そうすると普段とは違った想いが聴こえてくるはず。その話を聴きながら次の戦略「どうすればできるかなぁ」と考えてみることが個別ケアだ。

そして大切なのは、聴くだけではなく、実際に動いてみることが本人にとって価値のあることにつながり、信頼関係も構築される。そこには人対人の関係もできているだろう。

上にある写真の子どもたちは本人に接するとき「おじちゃん!」と言っている。本人たちも「認知症のおじちゃん」ではなく「そこら辺のおじちゃん」と呼んで欲しいと想っている。つまりは人対人の関係を求めているのだ。

誰もが「そこら辺のおじちゃん(おばちゃん)」になれるような環境をこれからつくっていきたい。


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