魔法言葉「身体機能回復」 [介護・福祉の疑問]
約1ヶ月ぶりのブログ更新。
「介護保険制度は財政破綻により崩壊するだろう。」という意見を聞いた。んー、何とも暗い未来予想図だ。お先真っ暗、先行き不安、生き難い社会が想像できてしまうかもしれない。
このブログでも何度か触れてきたことだが、介護保険の【無駄遣い】が気になる。何のために介護保険サービスを利用するのか。現在はその本質的な部分が抜け落ちているのではないだろうか。
自身の目指している目的や目標を達成するために介護保険サービスを利用した結果として、自身の生活を豊かにすることが本質の部分なのだが、ここが抜け落ちていることが多い。例えば、身体機能の維持回復をすることだけが目標となっていて、その先がない。身体機能の維持回復は手段であって、目標ではないはずだ。
この「身体機能の維持回復」という便利な魔法言葉によって、本来介護保険サービスが必要のない人たちまでを集めている事業所がある。何のためか、それは金儲けのためだ。
元々、整形外科などの待合室で”集会”を開いていたオバちゃんたちは、友人に会うために整形外科へ通っていることも少なくなかった。それが”集会”で会っていた友達が一人、また一人と身体機能回復という魔法をかけられて消えていく。どこへ消えたかというと、デイサービスという魔法城。
すると”集会”から残されたオバちゃんは、友人に会うために魔法城に行きたいと思い、ケアマネ魔女に依頼する。するとケアマネ魔女は「身体機能の維持回復~★」と魔法を唱えて、オバちゃんを魔法城へ送り込んでしまうのだ。
今までは自宅から歩いて整形外科へ通い、無料(受診料はかかるが)で”集会”を開いていたのだが、魔法城へ通うようになってからは、ハイエースという名のかぼちゃの馬車が送迎をしてくれて、有料で”集会”を開くようになった。しかも、その有料部分の9割は国の財源から支給されている。
整形外科まで歩くことで、自然と身体機能の維持回復ができていたのにもかかわらず、現在は身体機能の低下もしくは維持を有料でやっている。これじゃ、財源は幾らあっても足りない訳だ。
ここに「まだまだ働きたい」という想いを持った営業マンAさんがいる。でもAさんは脳血管性認知症により車いすに乗って移動しなければならない。このAさんが次のような支援により、介護保険を利用して目標を達成した。
=目標「働ける」=====
・通所リハビリを利用し身体機能の維持回復を図る。
・短期目標を達成したところで介護保険の利用終了。
・通勤は隣人のご主人が自宅の最寄り駅まで車いすを押してくださり、会社のある駅からは同僚が車いすを押して出勤。
・営業は部下と一緒に回る。
・取引先からの絶大なる信頼を得ているAさんは、取引先からも「Aさんがいないと、ウチは取引しないよ」と、Aさんがその場に居るだけで商談成立。
・支援が必要な場面は幾つかあるが、Aさんの目標としていた「働ける」を達成。
・通勤と営業回りが自然なリハビリにもなり、身体機能の維持回復となっている。
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このAさんは、働きたいという目標を達成するために介護保険サービスを利用し、想いの実現によって生活も豊かになることができた。
全てを介護保険サービスで賄おうとするのではなく、何のために介護保険サービスを利用するのか。その辺りをもっともっと深めていかなければならないだろう。それは介護保険サービスは生活を支える一つの道具なのだから。
昨日、近所のSさんとこんなことを話しました。
デイサービスの送迎ってどういう意味がある?
あれは誰のため?
車いすだったり、足が不自由だったりで外に行けない人にはいいよね。迎えに来てくれれば外に行きたいって人がいるからね・・。
でも、私はデイセンターまで歩けば5分というぐらいなのに
迎えに来るんだよ。
そうして、3時にお茶を飲んだら帰りたいのに
4時半まで待ってて、と言われて待ってる。
待って無くてもいいんだよ、5分も歩けばかえれるんだから・・・
みんな遠くまで迎えに行かなくても
近所のデイセンターに通って
歩いたり、車いす押してもらったりじゃ、駄目なのかねえ。
何で遠くまで連れて行かれるの?
リハビリとか言って
デイセンターで、階段登ったり降りたするぐらいなら
自分で歩いてきた方が、よっぽどリハビリになるよ。
暑さ寒さだって、感じてねえ、いいと思うんだけどねえ
まあ、人それぞれだからいろいろあるだろうけどさ、
一人で歩かせて転んじゃだれの責任だってことになるんだろうし。
事故にでもあったら、家族がもっと大変な苦労をするってことだからね、それ考えると、一人で帰るって言い出せないんだよ、
悩むよ・・・老いては子に従えってことだよね・・・。
ちなみにSさんは4時半にデイセンターを車に乗って皆さんと出ると5時10分に家に着くんだそうです。
(早く帰って何するの?と聞いてみました。
すると、大好きなイベット・ジローのシャンソンを聞きたいのだそうです。パリの空の下だとか、枯れ葉だとか・・・ん~御年88歳・・)
MAECHANさんは若年期の方を考えていますよね、そうして歳をとっていく本当にその時一人一人に必要なことを、考えていきたいですよね。
by AYAKO (2012-05-29 06:22)
目的や目標を明確にすること、
目標を達成するための手段を目標と勘違いしないこと、
何のために介護保険サービスを利用するのか、もっと深めて考える必要がある、
全く同感です。
本人、家族、ケアマネージャー、介護サービス事業所スタッフ、
地域の人たち・・みんなでつながって考えていきたい。
”その人は何を望んでいるのか、何をしてほしいのか”
反省を込めて云えば、
”その人のための視点”が時々欠けている自分がいる。
by 伊勢太郎 (2012-06-04 06:56)
>AYAKOさん、コメントありがとうございます!
また私のコメントが遅くなりスミマセンm(__)m
私は若年期の方を考えているというよりも、本人の想いをどうすれば実現できるのか、という方向で考えています。
若年期の方は意見を主張される方が多いですし、たまたま取り組んでいることとリンクしているのだと思います。
高齢者も想いは持たれているのですが、時代背景として「忍耐が美しい」とされていた時期を生き抜いてこられた方々です。意見は滅多に表に出されません。
でも、聴くと色々と想いを持たれています。どうすば実現できるのかなと・・・。
とうすれば・・・と考える、そして実行することが、専門職なのだと思います。
介護保険制度は矛盾が多い制度の一つです。何のための介護保険サービスなのか、誰のための介護保険サービスなのか、支援者としてもう一度振り返りたいですね。
by Maechan (2012-06-23 00:30)
>伊勢太郎さん、コメントありがとうございます!
そして私からのコメントが遅くなりましてスミマセンm(__)m
視点はブレずに、そして介護保険サービスを利用することとは?と皆で考え共有することが大事ですね。
ただ、家族の視点も大事です。そのことも踏まえながら、ケアマネジャーはケアプランを本人や家族に代わって計画作成しなくてはなりません。そこまで考えているケアマネジャーはどれくらい存在するのか・・・。
色々とDAYS BLG ! から発信していきます!
by Maechan (2012-06-23 00:36)