スピリチュアル回想法 [活動報告]

スピリチュアル、これを初めて聞くと以前テレビ番組の『オーラの泉』に出演していた江原さんを思い浮かべる人も少なくないだろう。現に私もその一人だった。

ここでいうスピリチュアル回想法とは、オーストラリアに在住しているクリスティーン・ブライデンさんの傍でずっと見守ってきた牧師・看護師のエリザベス・マッキンレーさんが開発した新しいケアである。

クリスティーンさんが書いた『私は私になっていく』という本にもあるが、今まで培って築いてきたものが自分の核の周りに形成されて私になっていたが、認知症になったことで形成されていたものが剥がれ落ちていき「私が私でなくなる」強い不安と葛藤されていた。

そんな中、エリザベスさんはクリスティーンさんの話をじっくりと聴くことから始めた。

するとクリスティーンさんは、剥がれ落ちて核だけになったとしても「それは素の私。私は私になっていく。」と気付くことができた。

クリスティーンさんとの会話の中で、エリザベスさんがしっかりと聴くことによって、クリスティーンさんが色々と語ることができ、それが認知症と向き合えるようにもなれた。

ただ素になっていくときの不安や混乱を受け止めて、優しくケアをしてもらいたい。

心の奥深くにある不安や寂しさに耳を傾けて、それを言える環境をつくって欲しい。言える人が隣にいてほしい。

そして素の私を受け止めて欲しい。それも自然に。

常に良き友人、相談相手、看護師といった立場で接してきたエリザベスさんは、この経験を生かして回想法といった手法を用いた研究をオーストラリア政府のバックアップを受けて取り組み、実績を出してきた。

「生きるということ「自分はなぜ認知症なのか」などの問いに真正面から向き合い、探究し、良い方向の解決へと向けて、絶え間なく働きかける(引き出していく)こと。

トム・キットウッドさんの“パーソンセンタードケア”をより深め、心の引き出しから不安を外に出すことで、前向きに生きる支援をすることがスピリチュアル回想法なのだが、なかなか現場では時間もなく上手くいかない。

それでも、車いすを押している時や入浴の時などの時間を有効に利用して、また昼食後の休憩時なども少し本人の心に寄り添いながら“聴いてみる”ことを始めてみる。すると本人も前を向き始めるかもしれない。

「アタシ最近ボケてきちゃって。認知症なのよね。だから訳が分からなくなる前に、自分が自分でいられるうちに死にたい。」と言っているお婆ちゃんにアナタはどう応えるのだろうか?


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