DFC旅サポ「湯河原温泉＆みかん狩り」 [気付きのきっかけ]
今回、[DFC]・[旅行会社]・[つながりの開]にて、認知症の本人・家族・サポーターが1台のバスをチャーターして湯河原温泉へ日帰り旅行を開催した（詳しくは右下の安心できる医療・介護に出会うために 【認知症版】 をクリック）。
バスといっても一般の大型バス。出入り口にはステップがあり、後部座席は宴会席。そこに車いすの方も参加され、サポーターの方たちによってスムーズに昇降できた。
サポーターといっても、専門職だけではなく、参加者の知人や一般企業の人も入り混じっている。いわゆる“サポート”の名の下に集った人たちだ。
このサポーターたちはバスの中だけでなく、旅行中あらゆる場面で、認知症の本人とサポーターという関係ではなく、人対人の関係で接していた。
例えは悪いかもしれないが、サッカーで言うフィールド上の選手11人が認知症の本人で、サポーターは12人目の選手。常に同じ視点や考えに立つことで、世界観を共有することができる、そんな言葉が当てはまる。例えは悪いが・・・。
私の例えは悪いが、その「人対人」という自然な接し方、共に旅行をする仲間、1日を楽しむ者同士として、心のバリアフリーとでも言うのだろうか、壁がない。
こちらのブログも見てもらいたい。→https://aspara.asahi.com/blog/nobusan/entry/tnYYFL5kXg
そして、旅が終わる頃には仲間意識がアップしていて、帰りのバスの中はカラオケボックス状態。皆、歌う、そして歌う、またまた歌う。
日常の中の非日常である旅行。そんな素敵な旅行が認知症だからといって行けなくなるなんていうのは不自然。旅行に行けること、それが当たり前。
雨の日に言われた「つまらないわ！」 [気付きのきっかけ]
ここ数日、東京は雨が続いている。この時期になると思い出すことがある。今から8～9年前、私はデイサービスにおいて、何より“安全”を優先させていた時期がある。それなので雨の日の外出なんてとんでもない！と考えていた。だって、滑って転ぶから・・・。
今から考えると「バカな考えを持っていたものだ。」と言えるが、当時はそれなりに一生懸命考え、上からの意向に沿った末の結論だった。
そのバカな考えを一喝してくれたのが、90歳の婆ちゃん。昔、陸上をされていたとかで足腰は元気そのもの。気持ちは未だに青春中で“彼氏”と恋愛中の何とも憎めない人だ。私の師匠でもある。
ある雨の日、「ねぇ前田さん。どこか行かないの？連れてってよ～。」と言ってきた。
私は「雨降っているから外は危険です！」と返した。
すると・・・「アンタ、それでも人間かい？雨の日に紫陽花なんかを見にでも行ってごらんなさいヨ！紫陽花なんてのはね、雨の日に見るから良いんだよ！！それじゃ何かい？雨の日に出たら警察に捕まるのかい？あ～バカらしい！！！やってられないよっ。」
不満が噴出。本人からみれば私はダメ人間で頭が固く、何を言っても聞いてくれない若造とでも思ったことだろう。
悔しくなった私は、その人に「危険でも良いのですか？」なんてことを聞いたと思う。
「良いかいアンタ。安全で刺激がない生活なんてのは死んだのと同じ。危険でも何でも刺激がある生活のほうが張りがあって楽しいじゃない！今を生きているのだから、生きているうちは刺激を求めて色々と興味を持つほうが良いよ。いつでもコロッと逝けるようにね！」と返ってきた。
私は「ハッと」気付いた。心の中が晴れ渡っていく感じすら覚えた。「自分は今までドコを向いて仕事をしてきたのだろう・・・？何が危険なんだ・・・？危険と言っている自分が本人の機能低下を招いているとしたら、一番危険なのは自分？？」と頭が疑問だらけ。
そこで初めてデイサービスとは何だ？と考えるきっかけを頂き、それから雨の日でも雪の日でも、一日一回は外出してみようと思い始めた。
もちろん失敗もある。車いすの人に傘を差してもらってスタッフは合羽姿で外出したところ、本人の膝部分がビショビショに濡れていた。それは傘から滴り落ちる雨で濡れてしまったから。
また別の日は「行きたい」と言われたので、外出にご一緒したら「何でこんな天気の日に外出しなけりゃいけないのよ！」と怒られたこともある。
その失敗を次に活かし、本人に聞きながら外出するようになったのである。暫くすると、その婆ちゃんが「あそこは良いところだよ。行きたいところに行けるし、やりたいこともできるからね！」と言っていたと娘さんから聞いた。
さすが私の師匠である。
※次回は「目的の大切さ」についてお伝えしたい。
