介護保険サービス“利用者” [介護・福祉の疑問]

「今度来る新規利用者だけど・・・」「うちの利用者は・・・」「あの地域は利用者多いから・・・」といった専門職の声をよく耳にする。悪気は無いのだろうが、職業的な口癖だ。

私が最近、皆さんにお伝えしていることがある。介護保険サービスを利用するようになった瞬間から、〇〇さんは“利用者”となってしまっていることだ。 

職業的な口癖だけに、気付いていない人が多いかもしれないが、利用者というカテゴリーの中に一人の人間を押し込めてしまい、そのカテゴリーは【利用者=護る存在】、つまり出来ないことが多い人たちと決め付けている節がある。

なぜ、カテゴリーの中に押し込めてしまうのか。

それは利用者という言葉を使うと、言い訳の理由になってしまうことが挙げられる。言い訳とは、リスクや事故が起きたときに、「利用者=社会的弱者だから何が起きても(何を起こしても)不思議ではない」=「自分のせいではない」と暗黙の、気持ちの悪い意思統一が図られているのではないだろうか。

ちょっと待って。

利用者の前に生活者であり、そもそも〇〇さんという一人の人間ということを忘れないで欲しい。生活者とは ①社会的な役割を持っている ②楽しみを持っている ③交流機会がある この3点が絡み合っている状態のことだ。そこに一人の人間として〇〇さんの個性が入ってくる。

例えば、アナタに置き換えて考えてみよう。アナタは①働いている、専業主婦、PTA、町内役員など ②趣味がある、好きな過ごし方がある、目標を持っている ③会社の同僚と会う、友達と会う、人と会う ・・・当てはまるだろう。

そんなアナタが交通事故に遭い、退院後には介護保険サービスを利用しながら生活をしていかなければならなくなった。するとスタッフから“利用者”カテゴリーに入れられてしまい、①もう働けない人、何も出来ない人 ②事業所のプログラムに合せなければならない ③事業所で他の“利用者”とスタッフのみにしか会えない  面白くない“利用者”人生のスタートになる。

私なら耐えられない。例え介護サービスを利用することになったとしても、前田流の生活がある訳だし、考えを持っているし、自分は自分で唯一無二であり、多くの利用者と一緒にされるのは嫌だ。

そして“利用者と呼ぶこと”に関して、こんな意見も頂いた。「利用者という呼び方は差別的に感じる」と当事者の〇〇さんからだ。

当事者からこんな意見が出てしまうこと自体、専門職として恥ずかしくないのだろうか?もうそろそろ、“利用者”と呼ぶのは止めにしないかい?そこのアナタ。


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